2019年12月31日火曜日

漫才

「どもー、どもっ、アメカサボーイです。お願いしまーす。ありがとうございます。あっ、ありがとうございますー、ねっ。いま、『修得之書』をいただきましたけどもね、ありがとうございますね、もー、こんなんナンボあってもいいですからね」

「一番いいですからね」

「えー、ありがたいですよ」

「言うていきましょう」

「言うとりますけどもね」

「ウチの弟がね、好きなゲームがあるらしいんやけど」

「あっ、そうなんや」

「ちょっと、その名前を忘れたらしくてね」

「ゲームの名前を忘れてもうて・・・? どうなってんねん、それ」

「いろいろ聞くんやけどな、全然わかれへんねんな」

「わかれへんの。ほな俺がね、弟の好きなゲームの名前、ちょっと一緒に考えてあげるから、どんな特徴言うてたかっての教えてみてよ」

「戦国時代を舞台にしてて、職業が8種類、特化が24種類あるゲームや、って言うねんな」

「おー・・・・・・信Onやないかい。その特徴は、もう完全に信Onやがな」

「信Onな」

「すぐわかったやん、こんなんもう」

「ちょっとわからへんのよな」

「何がわかれへんのよ」

「俺も信Onと思ったんやけどな」

「そうやろ」

「弟が言うには」

「おう」

「死ぬ前の最後のゲームもそれでいい、って言うねんな」

「あー・・・、ほな信Onと違うかー」

「おう」

「人生の最後が信Onでええわけないもんね」

「せやねん」

「信Onはね、まだ寿命に余裕があるからやってられるのよアレ」

「そやねんな、あー」

「信On側もね、最後のゲームに任命されたら、荷が重いよアレ」

「そやねん、そやねん」

「信Onって、そういうもんやから。ほな信Onちゃうがな、これ。ほな、もう一度詳しく教えてくれる?うん」

「なんであんなに、他のゲームよりも、チャットの機能が優れているのか分からんらしいんや」

「信Onやないか。インして1回もボスもしないで知人とおしゃべりしただけで落ちる人もいるんやから。でも俺はね、あれは、ボス戦中にでさえトイレに行ける驚愕のゲーム性ゆえの必要やからやと睨んでんのよ。俺の目は騙されへんよ。俺騙したらたいしたもんや。で、あれよう考えたらね、他のプレイヤーの人柄の面白さも含めての、ゲームの面白さになってるんだから。俺は何でもお見通しやねんから、もー。信Onや、そんなもん」

「わからへんねん、でも」

「何がわからへんの、これで」

「俺も信Onと思ったんやけどな」

「そうやろ」

「弟が言うには」

「おう」

「歳とって大人になってもメインの余暇の過ごし方もそのゲームで全然いい、って言うねんな」

「じゃあ、信Onちゃうやないか」

「そうやねん」

「いい大人になって貴重な余暇の過ごし方が信On以外禁止や言われたら、ちゃぶ台ひっくり返すもんね。信Onはね、まだ若い頃の、人生の残り時間に対する考え方がぼーっとしている時期だからやってられるのよ。やってるうちにどんどん歳をとってくるから、さすがに色々なこと考え始めて、あれ、何か違う時の過ごし方もあるのでは、と、にわかに焦りだしたりして、結果、皆どんどん引退していってしまうのよ。そういうカラクリやからね。信Onちゃうがな。ほな、もうちょっと何か言ってなかった?うん」

「戦闘のバー読みが面白いらしいんや」

「信Onやないかい。戦闘システム結構面白いのに、それを真似したようなゲーム全然ないんやから。あと、生産とかも面白いですよ。信Onよそんなもん」

「わからへんねん、だから」

「なんでわからへんの、これで」

「俺も信Onと、思ってんやけどな」

「そうやろ」

「弟が言うには」

「おう」

「お坊さんが修行のときもやってるって」

「ほな信Onちゃうやないかい。寺の修行に、殺戮しまくるゲームはやらんねん。信Onはね、ゲームの中だけでも生きとし生けるものを殺したいという煩悩の塊です。あれみんな煩悩に多重課金しとんねん、あれ。信Onちゃうがな、それ。ほな、もうちょっと何か言うてなかったか?うん」

「新章のパッケージ版買うと、わけわからんオマケが『かさ増し』で入ってるらしい」

「信Onやないか。あれ、法律すれすれぐらい入っとんやから。コエテク側が、覚醒の章のときの火縄銃レプリカを超えるトンデモおまけを今後つけそうになったときは、俺は動くよ、ホンマ。信Onや、絶対」

「いや、でもわかれへんねや」

「なんでわかれへんの、これで」

「俺も信Onや思ったんやけどな」

「そうやて」

「弟が言うには、ジャンルで言うたら、シューティングゲームやて」

「じゃあ信Onちゃうやないか。信長の野望であれ信長の野望Onlineであれ、どっちにしろシューティングゲームだけは絶対に違うんだから。敵にタッチした瞬間にシューティングゲームに画面が変化したら、訳分からなすぎて、脳みそ飛び散るよ」

「せやねん、せやねん」

「信Onちゃうやないかい。ほなもうちょっと何か言うてなかった?うん」

「ネットで実況動画をアップするとき、PCプレイヤーは音楽使えへんらしい」

「信Onやないかい。べけるちゃんねるはルール守って音楽消してるから、元々どんな音楽だったか浮かばへんのよ。な?浮かんでくるのはニュースで目撃情報を話す一般人のように加工された「コンニチハー」みたいな声で話すベッケルのしょうもないしゃべりだけ。赤いスカーフのベッケルのしゃべり声だけ。信Onに決まり、そんなもん」

「わからへんねやて」

「わからへんこと無い、弟の好きなゲームは信長の野望Online、もう」

「弟が言うには、『信Onではない』って言うねん」

「ほな信Onちゃうやないかい。弟が『信Onではない』と言えば、信Onちゃうやないかい。先言えよ。俺がニュースの一般人の声真似してたとき、どう思ててん」

「申し訳ないなって思って」

「ほんまにわからへんがな、これ、どうなってんねん」

「妹が言うにはな」

「妹」

「『オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか?』ちゃうかって」

「いや絶対ちゃうやろ。もうええわ。ありがとうございましたー」

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